経験的治療について
どんな治療法でも明らかに有害でない限り、効果があるように見えてえてしまいます。
期待した結果が何らかの治療をした後に一致して起こるので、多くの人々がこの結果を関連付けて考えてしまいます。一般に一つ、あるいは二つの対照をおかない観察に基づいて意見を言う事があまりにも多く、主観のみで客観性に欠けています。結論を事実に押し付けるのではなく、再現性のある観察(事実)から客観的に結論を引き出すよう常にしなければん。
一般の人、健康食品業者、流通業者、医師、獣医師が、薬や健康食品の効果について、非現実的な考え方をしばしば宣伝しているのも経験的主義が横行しています。
病院にこられるかたの多くは、病気や問題をどう診断するかではなく、どう治療していくのかと質問する人がほとんどです。
例えばこれは、射撃で ”用意!撃て!・・・狙え!といっているのと同じ事なのです。病気に薬を処方するかという点にばかりを気にして、薬をどう処方するかという本質を見失ってしまっているのです。
われわれ獣医師は多くの臨床的観察や経験と、対照をおいた臨床試験の成績の間にあるきちんとした概念上の違いを理解していかねばなりません。
臨床的研究がひとつの症例報告から始まり、症例の集積が行われ、無作為化した対照を置いた二重盲検試験をして、経験的治療でなく化学的治療に変わっていくのです。
これらは、発見のための方法でなく実証の手段です。
経験的観察や治療は重要ですが、適切な対照をおいた試験のいくつかの成功例だけをそのまま受け入れることは危険であり、治療効果についてきちんとした根拠や証拠がないと、劇的な効果に目を奪われ、失敗や無効は忘れ去られて、そして民間療法が指示され誇大に表現される事になっていきます。 |