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ワクチン

ワクチンで感染症予防

ワクチンは、感染性の病気に対し、免疫に刺激を与えるものです。動物は、ワクチンに含まれる抗原に反応して免疫を産生します。ワクチンは発病力を弱くした病原体(抗原)を動物の体に入れて免疫(抗体)を作らせ発病力の強い病原体の侵入を防ぐ方法です。

私たち人間だけでなく、犬や猫、ウサギやフェレットにも、ウイルスや細菌が体の中に侵入したとき、病気にならないよう体を守ろうとする力があります。これは、【免疫】という能力で、異物が侵入するとそれを外に出そうとします。一度侵入した異物は免疫細胞に記憶され、次に侵入したときは免疫がすぐに行動し排除する準備をします。どのように排除するかが記憶されているので異物が増殖しないうちにやっつけることができます。

予防接種に使われるワクチンは、この免疫システムを作り出し、ウイルスや細菌がいつ侵入しても最小のダメージで済むように体勢を整えておくものです。

ワクチンの効力は感染症の種類、ワクチンの種類で異なります。一回の接種で免疫が数年~数十年続くものもあれば、複数回の接種が必要なものもあります。

また、ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。

生ワクチンは、原因微生物・ウイルスの毒性を弱めた生菌からなり、病原性を発揮することはありませんが、防御的免疫反応を刺激します。新たに獲得する免疫力は不活化ワクチンに比べ投与をうけた後、動物の体内で増殖して持続時間も長くなっています。ただ、生ワクチンは生きている病原体を使用するため、少なからず副作用も報告されています。

不活化ワクチンは、原因となるウイルスや細菌を化学処理により感染能力をなくしたものです。死菌ワクチンとも呼ばれます。それでも免疫反応を刺激するだけに充分な量の抗原を含んでいます。不活化ワクチンには、含まれる抗原に対する免疫反応を高める物質がありますが、通常、生ワクチンから得られる免疫のように長期間持続することはありません。 ただ、生ワクチンに比べ副作用が少ないことがあります。

 

犬のワクチンについて

犬のワクチンは、法律で義務付けられている狂犬病ワクチンと義務ではないけれど接種が強く勧められるものの2つに分けられます。狂犬病は人と動物の共通の感染症で感染した動物に噛まれると感染し、人間も発症すると死亡率が100%と言う恐ろしい病気です。狂犬病ワクチン接種を受けることは、犬だけでなく、他の動物・人・社会への気配りになり、また、何より飼い主様を守ることになります。

日本のみならず、先進国では、法律で狂犬病予防ワクチン接種が犬の飼い主に義務付られています。さらに先進国では、飼い猫にも狂犬病の予防注射が義務付けられていることを知っておいてください。(他国に猫を連れて行くときは狂犬病予防ワクチンは必須事項です。)年一度必ず接種しなければいけません。各自治体での集合接種は4月~6月に行われます。また、各動物病院でも接種できます。

接種することが任意のワクチンはコアワクチンと、ノンコアワクチンに分けられます。コアワクチンとは、必ず接種を受けていただきたいワクチンで、感染すると症状が重く命にかかわり、感染力の強い恐ろしい感染症のワクチンです。ノンコアワクチンとは、早期治療で治療が可能ではあるものの、感染予防と拡散防止、人への感染防止に必要な感染症のワクチンです。

■コアワクチン
  • ラブドウイルス(狂犬病)
  • 犬ジステンバーウイルス
  • 犬アデノ1型ウイルス感染症(犬伝染性肝炎)
  • 犬パルボウイルス
■ノンコアワクチン
  • 犬アデノⅡ型ウイルス感染症(犬伝染性喉頭気管支炎)
  • 犬パラインフルエンザウイルス感染症
  • 犬コロナウイルス感染症
  • 犬レプトスピラ感染症(人獣共通感染症・届出伝染病)

任意のワクチンには混合ワクチンと単体ワクチンがあり、通常は混合ワクチンを接種します。(下記参照)

アイン動物病院では、パルボウイルス感染症の単体予防接種を6ヵ月毎に接種することをお勧めしています。現在海外で新種のパルボウイルスが確認・報告

これらの病気にかかる前に、ワクチンの接種で犬や猫の体の中に抵抗力をつけておき(抗体と呼ばれています)、万一感染しても体を守り発症しないように、または発症しても軽症で済むようにしておくことが目的です。ワクチン接種は生まれて30日齢前後から数回のワクチン接種が行われますが、ワクチンの種類メーカーによって予防効果の大小、効果持続期間はいろいろで、すべての病気を100%予防できるわけではありません。お母さんからもらった抗体の量によっても接種回数や接種日齢は変わります。

 

子犬へのワクチン接種の時期と回数

生まれたばかりの赤ちゃんは、とても抵抗力が弱く、そのままでは色々な感染症にかかりやすく、命にもかかわる事態となりかねません。そんな無防備な赤ちゃんを守るために、自然界には”移行抗体”という、”お母さん譲りの免疫”があり、自分自身の力で周囲の病原体と戦えるようになるまで赤ちゃんを守ります。

犬は移行抗体のほとんどを初乳から貰い受けます。ですから、生まれてすぐに、お母さんの初乳を飲ませる事は大切なのです。この移行抗体は、時間が経つにつれ減少し、赤ちゃんはまた無防備の状態になってしまうので、感染症にかかる前にワクチンを注射することにより再び防御状態にしてあげます。移行抗体が有効な時期はおおよそ45日~90日位迄です。この移行抗体の効力が切れる時期が、病期に対する抵抗力が失われる、大変危険な時期といえます。

しかし、この移行抗体が残っていると、ワクチン接種をしても、移行抗体のためにワクチンの効力が無効となってしまいます。そのため、より確実に免疫を作るために、初回の接種の後1~4回の追加接種を行います。
☆注意して頂きたいのは、ワクチンの接種によって作られる免疫は一生続くわけではないということです。

特にパルボワクチンでは、生後5~6ヶ月齢まで接種プログラムを延長し、半年ごとに追加接種を推奨している動物病院もあります。

現在の日本の子犬事情や不備なワクチン証明書発行などを考えると、30日齢~45日齢からワクチン接種を開始して、100日齢まで3週間以上4週間以内の間隔で、接種することが推奨されます。なぜかというと、その子の母親が、いつどんなワクチンを接種されたか。そして、生まれた子が初乳をどれだけ飲んだか。それがわかる子犬はほとんどいません。

母犬がワクチン接種を毎年きちんと受け、初乳を充分に飲んだことがわかる子犬は、生後55日齢~60日齢から、ワクチン接種を開始し、3週間以上4週間以内の間隔で、生後100日齢以上まで、接種を受けることが推奨されます。

また、母犬がワクチン接種を出産1年以内に接種されていないか、何らかの理由で初乳を全く飲めなかった、ほとんど飲めなかった子は、移行抗体の期待ができないため、生後30日齢以上から、3週間以上4週間以内の間隔で、90日齢以上まで接種することが推奨されます。

従来型のワクチンでは、移行抗体に阻まれてワクチネーションがうまくいかなかったが、2000年以降の新型ワクチンを生後100日齢以上でワクチン接種を行うことで解決します。移行抗体の量は個体差が大きく、まったく持っていない赤ちゃんから、12週を過ぎても充分に持っている赤ちゃんもいます。赤ちゃんがもらう移行抗体は、お母さんがどのくらいもっていたか、そして初乳をどれぐらい多く飲む事ができたかによるのです。

つまり、移行抗体を持ってない子や少ししかもってない子はワクチンを早い時期に接種する必要があり、早くワクチンが効くようになります。 血液検査で、移行抗体を調べる事はできるのですが、時間と費用の問題で、迅速な対応ができないのが現状です。ゆえに、移行抗体が低くても高くてもきちんとワクチンに反応するようにワクチンのプログラムを立てなければなりません。

大切なのは“何回接種したか”ではありません。子犬の時期に正しいワクチンプログラムで接種を行っても、その効果が減退してしまう可能性があり、その結果、成犬になっても感染症にかかったり、場合によっては命にかかわる事態になりかねません。

犬を一生に渡り伝染病から守るためには、年に一回の追加接種を行う事が必要です。年を取った犬にワクチンは必要かという質問を頂く事があります。いろんな意見がありますが、年をとればとるほど、免疫力が低下し、感染症にもかかりやすくなってしまうわけです。年をとった犬ほど感染症に気を配り、きちんとしたワクチン接種を受けるよう心がけてください。

 

猫のワクチン

猫も犬と同様、感染すると命にかかわる怖い感染症があります。幸いワクチンで予防できるものがありますので、猫が辛い目をしないよう飼い主が予防をしてあげてください。


いわゆる猫エイズ、猫Tリンパ球趣向性レンチウイルス感染症と猫伝染性腹膜炎=猫コロナウイルス感染症のワクチンはありません。

新しく飼われる猫は必ず健康診断を受けてから家に迎えるようにしましょう。

ワクチン接種前後の注意

人と同様、ワクチンによって副作用が出ることがあります。接種する種類や製造元、回数、時期については十分かかりつけの獣医師にお尋ねください。そして、担当獣医師から十分説明を受けたうえで、接種を受けるようにしてください。また、初めて接種する子はアレルギー反応や発熱などの症状が出る可能性があるので、なるべく病院が開く時間帯に予約を入れ、接種後何かあればすぐに動物病院に連絡が取れるようにするほうがいいでしょう。
接種後は運動は控えめに、当日のシャンプーなどもやめます。ゆっくり静養させてください。