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犬糸状虫症(犬フィラリア症)

犬糸状虫症(犬フィラリア症)

犬のフィラリア症は、犬を飼ったことがある人なら必ず知っている心臓に寄生虫が感染する怖い病気です。心臓のみならず、免疫疾患を引き起こし、肝臓や腎臓もおかす全身疾患です。サイレントキラーと言われ恐れられています。早期に発見できれば治療が可能でしたが、残念ながら、安全に心臓に寄生する駆虫剤の販売が終了してしまいました。そのため、治療が困難となっているので、予防がますます重要となっています。

近年、猫のフィラリア症がクローズアップされています。しかし、まだまだ認知度は低く、犬に比べ予防意識は低いといえます。しかし、むしろ犬よりも猫のほうがフィラリア症は恐ろしいといえます。なぜなら、犬はフィラリアが心臓に寄生することで体に問題を起こすため、フィラリアの検査が可能ですが、猫の場合は、心臓に寄生する前の子虫が死ぬことで種々の免疫反応を起こし症状が出るため、フィラリア症診断検査が困難だからです。

猫の場合、フィラリア症感染の検査が難しく、特異的症状がなく、治療法は対処療法しかありません。 つまり、診断、治療がしにくく、慢性疾患に移行したり、急死する猫も稀ではありません。

幸い、犬も猫も、予防薬を正確に投与すれば 100%予防できます。100%予防効果が証明されている薬は人の薬でも動物の薬でもまずないのではないと思います。

犬糸状虫=フィラリア症 は犬だけの病気と思われがちですが、人や猫、フェレットなど16種類の動物に感染します。人において日本では100例以上の報告があることは意外に知られていません。また、熱帯化している近年の日本では海外における人フィラリア症の感染にも注意をする「必要が出てきています。

犬や猫においては、100%予防できる寄生虫の病気です。しかし、感染を阻止できるのではなく、感染したフィラリアの子虫を駆虫する方法なので定期的な確実な投薬が必要となります。

近年、犬のフィラリア症の重症例は少なくなりましたが、犬や猫においての感染率は依然低くなっていないので、犬も猫もフェレットもそして人も注意が必要です。

 

原因

原因は、犬糸状虫(Dirofilaria immitis)という寄生虫です。

犬の場合は、心臓に犬糸状虫の成虫が寄生することで症状が出ます。雌は約30㎝、雄は15-20㎝のひも状の寄生虫です。雌は血液中にミクロフィラリアを産出し、これを、蚊が吸うことで感染が広がります。

猫や人の場合は、フィラリアが心臓に寄生することはまれですが、感染したフィラリアの幼虫(子虫)が体内で死に体が処理するときの反応としていろいろな障害が起こります。そのため、犬よりも診断・治療が困難となり、予防が需要となります。

まれに、心臓までに到達し成虫になった場合、2-4年は寄生し続けます。(犬の場合は5-8年心臓内で寄生します)

 

感染

犬糸状虫症に感染している犬の血を蚊が吸い、その血に含まれる犬糸状虫症の子虫(幼虫)も蚊の体内に取り込まれ成長し、他の犬や猫、フェレット、人などの動物を吸血するときに、蚊の唾液とともに送り込まれ感染します。

蚊が吸血すると感染幼虫が吸血孔や皮膚の傷口から侵入します。

本来の宿主である犬が感染すると虫は皮下組織、筋、脂肪組織などを移行しながら発育していき、やがて静脈から右心室や肺動脈に落着いて成虫となります。

成虫は子を産みミクロフィラリアとして血液に乗って全身に広がります。この血を蚊が吸血します。

 

症状

宿主である犬の場合、寄生数が少ないときはほとんど症状がみられません。

心臓内・肺動脈の寄生数が増えてくると咳が出始め、元気がなくなり食欲不振や被毛が悪くなったり貧血を起こすようになります。また、不整脈、呼吸困難を起こし、そのままにすると死んでしまいます。

フィラリアによる免疫反応が起こり肝臓や腎臓の障害が起こります。重度になると、呼吸困難や湿疹、腹水の貯留がみられ、黄疸や血尿が突然起こり(大静脈症候群)死に至ります。

猫が感染すると現在有効な治療方法はありません。

猫の場合は、不定愁訴で、何となく元気がない、食欲が落ちたり元気がない、少しづつ体重が減ってくるなどはっきりしない場合が多く症状が非常にわかりづらいため過小評価されています。咳などの呼吸器症状や免疫反応など突然死もあります。

フィラリアの未成熟中が肺動脈に達するまでにほとんどが死に、そのために免疫反応が引き起こされ、肺で炎症が起こります。この状態がHARD(犬糸状虫随伴呼吸器疾患)です。生きた未成熟中に対する免疫反応でおこることもありますが、成虫まで成長すると免疫反応が落ち着き症状が軽くなることがあります。

症状は、咳、呼吸が苦しそう、食事と関連しない嘔吐などですが、無症状のこともあります。アレルギー性気管支炎や気管支喘息と間違われることもあります。

心臓に寄生したフィラリアの成虫が死ぬことにより、免疫が活性化して、肺に重度の炎症を起こします。血管内で死んだ虫や血栓により血管が詰まってしまうことがあります。

 

犬糸状虫症

肺梗塞が起きると、突然死や急に呼吸困難が生じたり、発作や虚脱じょうたいになります。約20%の猫で突然死が起こるとされています。

幸いにして、これらの時期をのりこえても、ダメージを受けた組織が繊維化を起こすため肺機能の低下が起こります。そのため慢性的な咳や呼吸困難の症状が見られ治療法は知られていません。

人が感染しても無症状がほとんどですが、寄生虫が肺動脈を塞いだり、肺にコイン上の肉腫を作るため、咳や発熱、血痰、胸痛、呼吸困難などの呼吸器症状がみられます。

これらの肉腫が結核や癌と間違われることがあります。

 

治療

犬の場合、対処療法を行い、心臓・肺動脈内に寄生しているフィラリア症の駆除を行います。しかし、現在、犬フィラリア症の駆除剤が入手できなくなったため、内科的治療は困難となっています。さらに、外科治療においても肺動脈・心臓内の虫を摘出するため首の血管から特殊なブラシの付いた鉗子を使用していましたが、入手が困難になっています。

猫においては、対処療法しかありません。

人においては、フィラリア症の摘出や肺の病変部(肉芽腫)の切除となりますが、多くの場合対処療法が施されるようです。

 

予防

犬や猫においては、何より予防が大切で、犬も猫も100%予防できる病気です。「100%効果ある」と表示している薬はほとんどないのではないでしょうか? そして、犬よりもむしろ猫のほうが予防は重要となります。

気を付けていただきたいのは、フィラリアの薬現在、ジェネリック製剤が多数出ています。ジェネリック製剤のほとんどが投与試験を行われていません。また、行われていても小規模なものでしかないため100%の予防効果があるかは不明なので注意が必要なのです。